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汎用型支援ロボット(011)
2017/06/10 12:00 | Comments(0) | 連載
人型で、自律して動けば、アンドロイドということが分かった。じゃあ、動かない人型のものは何というか?
人形だ。
ちなみに、フランケンシュタインに出てくるのは、人造人間であり、ここまでの定義で行くとアンドロイドと言ってもよいが、フランケンシュタインは、ちょっとマイナスイメージというか、ホラーイメージが強すぎて、アンドロイドとは言いづらい気がする。というか、死体を切りばりして造ったんだっけか? だとしたら、有機体ということで、バイオロイドということになるのかな。
ちなみに、フランケンシュタインは、人造人間(怪物)を造った博士の名前で、人造人間(怪物)の名前ではない。

以下、連載。



「……それで、お前は何ができるわけ?」
 オンライン接続など、一通りの設定を終えた僕は、こいつの反応を確かめるために尋ねてみた。
 エアコンの風が、座布団に正座する少女型ロボットの、ふんわりとした髪をなびかせている。
「はい! 私は、一般的な家事を行うことができます。料理については刃物を取り扱うため、別途制御ソフトが必要になりますが、お湯を沸かすなど、簡単な作業であれば可能です。基本的には、両手を用いて行う作業は、ジュン様に教えて頂ければ可能だとご認識頂ければと思います」
 ひとまず上手くいったようだ。
「その、バカ丁寧な話し方も変えられるの?」
「……ええと、言語表現モードの切り替えでしょうか? 現在標準インストールされているのは、東北弁モードと関西弁モードです。その他の言語表現モードはオプションとなります。オンラインショップでその他の言語表現モードを検索いたしますか?」
「方言?! そんなのインストされてんの?」
「……申し訳ございません。上手く聞き取れませんでした。その他の表現モードを検索いたしますか?」
 首を僅かにかしげて、眉尻をさげ申し訳なさそうな表情になる。
「あーそうか、『検索』って言わないと分からないわけだな。ええと、『検索して』」
「はい、承知しました」
 明るい表情に戻り軽く頷くと、そいつは目を閉じ、何やら考えているような表情になった。
 しばらくしてそいつの口からは、様々なアニメのキャラクターに準じたモードだとか、「女子高生モード」だとか、「赤ちゃん言葉」だとか、次々と検索結果が出てきた。それも結構いい値段だった。うーむ、買う奴、多いんだろうな……。
「あー、もういいよ。取りあえず今のままで」
「はい、承知しました」
「ふぅ……。取りあえず、部屋の掃除でも覚えさせとくか」
「掃除ですね! 承知しました! 初めてのお仕事、頑張ります!」
 細い指先をぎゅっと握りしめて、小さなガッツポーズを作った。
 この、時おり見せる、やる気があるような動作は何なんだろう。無駄っちゃあ無駄なんだろうが、できるだけ無機質な家電ではないと感じさせるための、創意工夫なのかもしれない。
 効率化を考えたら、そんな無駄な反応はやめろと命じた方がよいのだが、きらきらと蛍光灯を反射して光る瞳――人工眼球なのだが、それを思わず見つめると、言葉が喉の奥に戻っていってしまった。
<続く>

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