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映画「バケモノの子」転生と異世界との融合との違い
2016/09/19 17:02 | Comments(0) | 創作について
細田守監督のバケモノの子を視聴した。
☆5つ評価中、☆3つといった感じ。面白くなかったわけでもないけれども、さほど感動するわけでもないといったところ。
闇に取り込まれたライバルを倒すために旅立ちを決めた際に、お世話になった二人に「ありがとう」といって、泣いて抱き合うシーンは少し感動した。



ストーリーとしては、
離婚した母親が亡くなり、親戚に引き取られそうになった主人公レンは、反抗して街に家出すると、不思議なバケモノの世界に迷い込み、そこで弟子を探していたクマテツの下で修業することになる。

数年をバケモノの世界で暮らしたレンは、ある日人間の世界に戻り、そこで闇を抱えた高校生の文学少女をDQNから救い、一緒に人間の人間の世界の勉強をして仲良くなっていく。

そのうち、クマテツのライバルの子が闇に取り込まれ、人間世界を巻き込んで戦い、勝つ。その際、渋谷で大立ち回りをするが、奇跡的に、人的被害はゼロだった。



映像がきれいで、東京の街並みや、車とか建物のリアリティ、大勢の人、雑踏の滑らかな動きとか、よかった。

けれども、ストーリーとして、面白かったかというと、まぁ、普通である。


やっぱり、なんというか、不良に囲まれた少女を救って仲良くなって勉強して「大きな敵」の中「心」を正しく保って戦いのサポートをしてくれる、という。

なんか、男の子が好きな女の子をよく表現しているなと思う。
いやまぁ、みんな誰しもそんなのが好きなので、良いと思うが、リアリティという面で今一つだなぁと思ったりする。まぁ、女の子としても、自分の危機に現れて、なんか複雑な事情を抱えてそうで、まっすぐ自分の生きる道を探して頑張っているような男の子に出会ったら、きっとときめいてしまうだろう。いや、俺が女の子でもきっとそうだろう。そういう意味で、決して、リアリティがないわけじゃあないのだけれども、そもそも、そういった事態があるかってことだ。

いや、あってもいいし、むしろ、物語なのだから、その平々凡々とした僕ら多くの生活の一部を切り取ったところで面白くないのは明らかだし、少しくらい特異なことが起こってもいいだろう。
けれども、なんというか、そういう「主人公」に思いを託す的な見方しかできない作品って、いい年の大人がみるとなんだかやるせなくむなしくなるものだなぁと思った(じゃあみるな!)。

いや、むしろ、子供たちにとって、そういった空から少女が……! 的な作品をみせてもいいものだろうかとすら思う。いやいや、それは決して、ぐちょぐちょでドロドロな群像劇が適切というわけではないが、何だか、夢や希望や理想ばっかり広がっても必ずしもうまくいくとは限らないことであり、その壁にぶつかったとき、「こんなはずじゃなかった」という失望感にさいなまれないだろうか、という余計なお世話な話である。

無職転生

無職転生という小説は、無職素人童貞のクズニートが異世界に転生してハーレムを築く話である、と書くと悪意のある粗筋になるが、そんなことなく僕はこの作品が好きだ。
何というか、同じ前向きとかポジティブとかそういう表現においても、どこか「失敗した」記憶や実感が残っていて、逆にその思考を元にして困難を乗り越え、ときに失敗しながら成長し冒険していく物語であって、ストーリー展開に目が離せなかった。

それって単にお前が卑屈でダメな奴だから単純な前向きな熱い作品が苦手なだけじゃないか、というのは、きっとそうだろうね~と同意する。と、いうか、逆に、そういう作品は、むしろ「現実」がその体現なのだから、物語として、創作物として、必要ではないのだ。

だって、自己啓発本とか読んでいれば、そもそも前向きで明るくて人生頑張っていこうじゃないか、って思えるじゃあないか。わざわざ物語で、小説で、映画で、ドラマで、敢えて触れる必要性が分からない。


だから、恋愛そのものを取り扱う作品も、昔から好まなかった。いやそもそも、そんなリア充的な経験がないからなのかもしれないが、むしろその「ありえなさ」を楽しむために喪女的な人がはまる(たとえば、韓流ドラマが流行ったってのはそういうことじゃないのだろうか)というのも一面であるのだろうけれど、俺はそれよりだったら、現実で色々試行錯誤して試してもいいんじゃないかと思う。

恋愛系の創作とはリア充のものか

何だか適当に考えていると、話しがどんどん脱線していくが、そもそも恋愛ものって、リア充のものではないだろうか。
ここで、「リア充」の定義や、喪男とか喪女とか、とくに「イメージ」だけで話をしていくとただのチラシの裏でしかないが、自分の中ではある程度イメージができているから、まぁ書き進めていくとしよう。

うーむ、しかし、恋愛要素ってのは別に悪いことではない。ロマンティック・ラブという概念は、現代人にとって一つ夢理想であり続けるものである。
それが、結婚制度によってゆがめられ……いや、これ、今書きたいことでも、メモしておくことでもないな。

多分、今の自分として、男女の関係というレベルの思考が必要になっていないことが原因だろう。

むしろ、もう一つ大きい次元として、人としての生き方ってなんだ、って話だ。

先ほどの、バケモノの子の最後のナレーション的解説では、「主人公は、きっとこれから大きな困難が訪れようとも突破して強く生きていくだろう、何せ胸の中に強い剣を宿しているのだから」的なものだったが、いやむしろ、その先の人生ってなんだよ、ということが僕の疑問である。

ゲームオブスローンズ

同時期に見ているから、特に関連はなくても比較してしまうのだが、やはりこの海外ドラマは面白い。フィフスシーズン(第五章)まで、今貸し出しされている作品は全部見終わったが、いやはや、まさか、あの人が反逆にあって殺されてしまうとは……。

まぁ、これから見る人は、第一章から見たとすれば何のことか分からないだろうし、既にみた人はネタバレなんて関係ないだろうから、印象に残ったシーンを書けば、

・ある国の王が、戦争の勝利のため、自らの娘を火あぶりにかけて生贄にするシーン。その前に、娘は、父からも母からも自らの病気により疎んじられていたと思い込んでいた。それが、あるきっかけで瓦解する。「お前は、私の娘だ」と抱きしめるシーンは、非常に感動的だった。その後、何やかんやがあり、火あぶりである。

「父上! 母上! どこですか! こんなことやめさせてください! ――いやぁあああ! 助けて! 父上、ちちうえ!! ああああああ」

という悲鳴、ちょっと頭から離れない。
一歩引いて、ドラマとして考えたとき、子役の人、ほんとまだ十代前半ぐらいだろうに、すげぇ演技だ(いや、吹き替えで見たから、声優の人がすごいのかもしれないが)。

いや、まじですか、そこで、その選択しますか。という、驚き。様々な人の決断ってのがあるなって思う。そして、そんな大仰な儀式をしたんだから、きっと戦争では華々しい戦果があるのだろうと思うだろう、俺は思った、ところが、蹴散らされ味方はちりじり。しかも敵の領主が、いやなやつで、サドスティックな奴で、突き抜けた異常さが逆に癖になってしまうぐらいなのだが、そいつが勝利するのだ。


・他の部族との争いで頭角を現した若い男が、選挙によりある領地の総帥となった。そこに、ホワイトウォーカーという、怪物、いわばゾンビみたいな軍団が攻めてくる。そこで、今まで敵対していた部族との和平を行い、ともに戦うことを約束しあう。
 おお、これで、ついにバケモノの軍団と一致団結して戦うって展開になるんだな、とワクワクした。その次の場面では、敵対した部族に家族を殺されたり、憎しみをもった人たちの反逆にあい、裏切られ、殺されてしまう。

まじめな人が得をするとは限らない

いい人が必ず成功したり、幸せになったりする作品ではないから、きっと万人におすすめはできないだろう。
何だか虚しさだけが残るという感想を抱く人もいると思う。
でも、何だか、大した経験も大した考えもあるわけではないが、そうした物語の方が、僕は何だか「現実的」だと思うのだ。

逆に、その努力したり頑張っていたら、必ずうまくいくような作品ばかりで育ってきた人は、「そうならなかったとき」どう思うのだろうか。
「人生うまくいかないこともあるさ♪」的な表現はよく聞くことだが、本当に本当に頑張って、真面目に、正しく、強く生きてきて、それが完全にひっくり返ってしまったり、裏切られたりしたことまで想像できているだろうか。

スピリチュアル的には、「そういうことを考える時点でダメですよ♪」となるわけだし、潜在意識とか無意識とか、自己意識とか、それらに働きかけられる意味や現象を、僕も全て否定する気はない。

だけど、どこかしら、「世界は残酷だ」ということを、僕らは分かっているようで、分かっていないのではないだろうか。

とか、知った風な言葉なんて、誰も必要としていない。
「え、そんなこと、みんな誰でもわかっているよ。そのうえでみんな大変なこともある中でがんばってるんだよ? 君だけじゃないよ? 30代にもなって幼稚だね~」
と言われることも分かっている。が、本当に皆わかっているのだろうか。否、分かる「必要がない」だけだろう。むしろ、有害であり、きっと遠ざけるべきなのだ。

それよりむしろ、「僕」が、きっとわかっていないのだ。そんな、「世界は残酷だ」とか言いながら、ずっと、これまでも、そのことをどこか認められない自分がいるのではないだろうか。



と、随分話が混線したので、とりあえずここまでにしよう。どれが創作の言葉で、どれが実感の言葉なのか、自分でもてんで分からなくなった。


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