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汎用型支援ロボット(010)
2017/06/06 12:00 | Comments(0) | 連載
じゃあ、ロボットとアンドロイドの違いは何だろうか? ロボットは、自律して動く機械である。自律というのは、人工知能みたいに、「考えて動く」ことではなく、ベルトコンベアーで流れる食品を自動でラッピングする機械も、ロボットといってよい。お掃除ロボット「ルンバ」は、掃除を自動でしてくれるロボットだ。つまり、ロボットというと、人型をしている必要は無いのだ。
人型をしていて、自律して動けば、アンドロイド、またはヒューマノイドになる。

以下、連載。

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汎用型支援ロボット(009)
2017/05/31 12:00 | Comments(0) | 連載
アンドロイドが登場する作品を書きたいと思ったのは、もうかなり前のことで、2005年ぐらいに一度プロットをつくったことがあった。けれども、強く書きたいというか、完成させたいという気持ちには中々なれなかった。

命の代償で願いを叶えてくれる話は、ここ最近、完結させてみようかと書き始めたのだった。で、一応最後まで書きあがって、じゃあ推敲していくかなーって時に、いつぞやのハードディスククラッシュによって、永遠に消え失せた。本当にあるんだこんなこと、なんて、どこか他人ごとのように思ってた。ホント、バックアップは重要だ。
そういう意味で、もちろんハードディスクにも保存しているが、ブログにアップしておくってのも、まぁいいのかもしれない。

以下、連載。


汎用型支援ロボット009


 苛ついた思いもあって、少し困らせてみようという気になってしまった。ロボットは、曖昧な返答に弱い。与えられたインプットについて、ある一定の法則で処理を行い、アウトプットする。だから、そのインプット情報が法則に基づかないものであった場合、上手く処理をできないのだ。
 ――好きにすればいい。
 ロボットにとっては、自分で考えることなどできないのだから、判断するというのは非常に難解な問いなのだ。
 
「かしこまりました。それでは、ジュン様と御呼びいたしますね」
 まぁ、何かを決めるというのは、人間でも難しいことなのだ。いくら高額のロボットだって、そこまでの要求は、「……えっ?」
 なんて考えていたら、大きな瞳をきれいな曲線にして、「嬉しそうに」、ふつーに、返答されてしまった。
 
「ジュン様、ふつつかものですが、これからどうぞ宜しくお願いいたします」
 
 さらには、お願いされてしまった。
 低頭し三つ指をついた姿は、座礼というのだったか。西洋の女中服が完全に浮いてしまうほど、和装が似合う優雅さを帯びていた。何だよ、こんな動作まで、標準でインストールされているってのか?
 僕は、苛ついた思いが一瞬なくなるほど、しばし、その背中に見とれていた。
  

<続く>

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汎用型支援ロボット(008)
2017/05/29 12:00 | Comments(0) | 連載
アンドロイドとは、人造人間のことであるが、この語は、1886年にリラダンという人が、『未来のイブ』という小説で使ったことで広まったとされている。アンドロイドという語は、ギリシア語で「男性の」という語幹が含まれているということで、女性型の人造人間は、ガイノイドという場合もある。
ヒューマノイド、バイオロイドという語もある。ヒューマノイドは、アンドロイドと同義と考えてよい。バイオロイドは、有機物的な意味合いが強い人造人間である。クローン人間はバイオロイドに分類されそうだ。

以下、連載。


 人は、人の形をしたものを、人であると認識する。
 じゃあ、人が、人であるために必要な条件は何なんだろう。
 こいつは、人じゃあない。アンドロイド、ロボットだ。A.I.とは、アーティフィシャル・インテリジェンスの略――「造られた」知能。それが、あたかも、人のように、まさに人であるとしてふるまっている。このことが、何とも不気味に思った。
 
「あの……、如何されましたか? 何かお困りのように見受けられます」
 
 首を僅かにかしげ、心配そうにこちらを見つめてくる。
 ちっ。表情感応センサーも大したものだ。画像解析技術の進歩は、人やネコといった動物の識別から、人の表情の種類まで識別できるようになった。「苦笑」という表情は難易度が高かったようだが、目は笑っていて、口元が笑っていないなど、表情の全体を勘案して最終的な表情としての判断をくだすことも可能になっているという。その笑うという表情自体、個体差はあるわけだが、長らく一緒に生活していると、使用者の微細な表情筋の動きも、判別できるようになるという。
 
「なんでもない。呼び方なんて、好きにすればいい」
<続く>

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汎用型支援ロボット(007)
2017/05/27 19:00 | Comments(1) | 連載

汎用型支援ロボット(007)


 ただ、そんなことを思ってもどうせ、見た目がいくら精巧でも、所詮は機械に過ぎない。オンラインゲームの、NPCに話しかけるような、そんなものだ。僕のこの、得体のしれない不快感だって、こいつは分かるはずがないのだ。
「……ん?」
 しかしそいつは、僕の言葉に、目を大きく見開き、口を小さく開けて眉尻を下げた。「驚いている」そういった表情だった。紛れもなく。

「申し訳ございません。伊吹純也(いぶき じゅんや)様。29歳。男性。既にそのようにセットアップされております。私が申し上げたかったのは、お名前をどのようにお呼びしたらよいかということです。愛称などで呼ばれたいという方も多いと理解しております」

 理解、ね。

 テキストベースの、人工知能が発明されたのは、1960年代だったという。それは、人が適当に書き込んだ言葉に、簡単な反応をすることができたらしい。「疲れた」といえば、「どうして疲れているのですか?」とか、反応する。当時はそれでもすごいと話題になったみたいだが、そのうち、結局ランダムで言葉を並べているだけで、「人工無能」なんて呼ばれて、すぐに飽きられたとのことだ。

 結局、今のこいつの言葉も、プログラミングされ組み込まれた、ただの音声に過ぎないだろう。こいつが、自分で考えて、納得し、知識として獲得したなんてことはないのだ。

 そんなことを思うと、何だか、急激に気持ちが冷めてきた。新しい電子製品、例えば、スマートホンだとか、パソコンだとか買ったときは、どんなことができるのか、使い勝手はどうなんだろうと、とてもワクワクした気持ちが生じてくるものだ。しかし、これは、何か、違う。物ではない。

(続く)

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汎用型支援ロボット(006)
2017/04/22 12:00 | Comments(0) | 連載
「初めまして、ご主人様。ええと、何と御呼びしたらよろしいでしょうか?」

 そんなことを考えながら、しばらく向き合って目を合わせると、そいつは、明るくあどけない声でそう話しかけてきた。
 それはいわゆる、ロボットの合成音声のようなものではなく、流暢に話す10代の少女のものだった。
 だが――。
 そのとき僕に、何故だか理由は分からないけれども、言葉に表せない不快感が生じた。

「え……なんだよ。そんなの、最初に登録してあるんじゃないの」

 次の瞬間には、つっけんどんに言ってしまっていた。 
 向こうから話しかけてくるとは思っておらず、驚いたのもあったのかもしれない。
 しかし、この感覚は、どちらかというと、怖さに似たような感覚だった。
 デフォルメされたヒト型は愛くるしいが、それをリアルに近づけるにつれ、ある段階で奇妙さが生まれるとは聞く。――とはいえ、目の前にいるのは、どう見ても艶やかで美しい銀髪の少女。それがどうして、こんな不安にも似た怖さを生じさせたのか、僕自身分からなかった。

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