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汎用型支援ロボット(003)
2017/03/30 22:30 | Comments(0) | 連載
3話目。
失恋した主人公は、思い切って最近流行りのアンドロイドを購入するために、専門店『ハダリー』を訪れ、そこでディーラーの多路須に会う。


汎用型支援ロボット(003)

 熱い人だった。初めはインドア風の穏やかな人に見えたのだけれど、アンドロイドにかけるパトスは本物なんだと感じた。だから、まぁ、少しくらい高くても、この人が言うならいいかなって、思い始めていた。ま、どーせ、金の使い道なんて他にない。
 独り身で、転勤もあるかもしれないから家だって買う気がないし、車だって。
 いや、車を買うのは、昔はずっと憧れていた。幼いころは、父親の運転する車でドライブするのが好きだった。
 でも、いまや、自動車は法令により、すべて自動運転が義務付けられた。人がステアリングを握るのは、緊急時に限られる。そもそも、自家用車なんて概念も古い。住宅地から郊外まで点在するパーキングには、自動運転用の車が常設されていて、いつでも好きな時に乗ることができる。自分用のタクシーのようなものだ。乗り込んで、ナビをセットすれば、自動で、安全に目的地まで運んでくれる。運んだあとの車は、自動で、最寄りのパーキングに移動するわけだ。
 こんな時代に、わざわざ高い金をかけて車を買う人は、サーキットで走る一部の人だけだ。
  他には旅行ぐらい……? いっそ海外にでも一人旅に行こうかとも思ったが、仕事が忙しくて長期の休みなんてとれそうにない。
 そんな、僕のような人が、最近お金を使う先は、アンドロイドだというわけだ。
 結局顔は、初恋の人に似せて作ることもできたが、結局みじめになってしまうだろうと分かっていたから、ドラマに出ている好みの女優に似せて作ることにした。
 
<続く>

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