汎用型支援ロボット(007)
ただ、そんなことを思ってもどうせ、見た目がいくら精巧でも、所詮は機械に過ぎない。オンラインゲームの、NPCに話しかけるような、そんなものだ。僕のこの、得体のしれない不快感だって、こいつは分かるはずがないのだ。
「……ん?」
しかしそいつは、僕の言葉に、目を大きく見開き、口を小さく開けて眉尻を下げた。「驚いている」そういった表情だった。紛れもなく。
「申し訳ございません。伊吹純也(いぶき じゅんや)様。29歳。男性。既にそのようにセットアップされております。私が申し上げたかったのは、お名前をどのようにお呼びしたらよいかということです。愛称などで呼ばれたいという方も多いと理解しております」
理解、ね。
テキストベースの、人工知能が発明されたのは、1960年代だったという。それは、人が適当に書き込んだ言葉に、簡単な反応をすることができたらしい。「疲れた」といえば、「どうして疲れているのですか?」とか、反応する。当時はそれでもすごいと話題になったみたいだが、そのうち、結局ランダムで言葉を並べているだけで、「人工無能」なんて呼ばれて、すぐに飽きられたとのことだ。
結局、今のこいつの言葉も、プログラミングされ組み込まれた、ただの音声に過ぎないだろう。こいつが、自分で考えて、納得し、知識として獲得したなんてことはないのだ。
そんなことを思うと、何だか、急激に気持ちが冷めてきた。新しい電子製品、例えば、スマートホンだとか、パソコンだとか買ったときは、どんなことができるのか、使い勝手はどうなんだろうと、とてもワクワクした気持ちが生じてくるものだ。しかし、これは、何か、違う。物ではない。
(続く)
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でも、話の内容は繋がっているようなので番号の振り分けミスだと思うんですがいかがでしょうか。
そして区切りについてですが、同じく連載やってる身からすると非常によく分かる悩みです。
で、私が出した結論はずばり「気にしない」でした(笑)
多少短くなっても気にしない。次のシーンへの繋ぎも、気にせず途中でもぶった切る。
最後の最後に全部まとめて掲載した時の形を重視する。
毎回締めの引きを気にかけるなら、連載の長さ自体をもう少し伸ばして週刊誌の連載マンガレベルの容量ぐらいにすべきなんじゃないかなと思ったりしました。